脱衣所に入った。
当然、手を繋いだままの恋も一緒に。
「恋お姉ちゃん。あの・・・・」
「なあに? 心ちゃん?」
「手を離してくれないと、服・・・・脱げない」
「あら。そうねぇ」
ようやく手を離してくれる。
ハーフパンツを脱ぐ。
シャツの裾に手を掛ける。
「・・・・・・・・?」
恋はニコニコと笑いながら真正面に立ったままだ。
脱衣所から出て行こうという素振りすら見せない。
一緒にシャワーを浴びようというのだろうか。
「あの・・・・?」
「なあに?」
姉妹なんだ。更に女同士だ。恥かしさなどない。気のせいだ。
そう思いシャツを脱ごうとしたその時。
「ちょっと〜〜!! 姉さ〜〜〜ん!!!」
愛の声。
「あらあら。どうしたのかしら? は〜〜い!! 今いきますよ〜!
それじゃあね、心ちゃん。お着替えは後で、ここに置いておきますからね?」
「はい・・・・」
スタスタと足音が遠ざかって行く。
「ふうぅ」
深い溜息を一つ。
ようやくまた、一人になれた。
洗面台上部、壁一面の大きな鏡に、広く明るい脱衣所の全てが映っている。
シャツを脱ぎ、脱衣籠へ。続けてショーツ。
白い裸身がライトを受けて浮かび上がる。
「女の子・・・・・なんだ。」
消え入りそうな声で呟く。
ツゥーっと左目から一滴、泪が零れた。
「泣くな。本当に女になっちまう。泣くな。泣くな。泣くな・・・・・・・・・・・・・・・」
瞼を閉じてブツブツと続ける。
早くシャワーを済ませないと姉が来てしまうだろう。
そのまま風呂場に入る。慣れ親しんだ我が家だ。
目を閉じていても、問題なくシャワーまで辿り着く。
シャワーを全開にして頭から被る。
手探りでシャンプーのボトルから適量を手に取り、髪を洗う。
頭皮に軽い痛みが走る。少し力を入れ過ぎたようだ。
よく漱いで、次はリンス、これもさっとすませる。
続いてスポンジを取り、ボディソープを泡立てる。
脚は腫れが退くまで刺激は与えない方が良い。
シャワーで流すのみにする。
手から腕、肩に続いて胸を洗おうとスポンジを当てた瞬間、感触に驚く。
小振りで薄っぺらな見た目と裏腹に予想外の弾力がスポンジ越しに伝わってくる。
その弾力を確かめるように数回スポンジで擦る内に、目を見開いた。
「・・・・・・ん、ん・・・・・・・ん・・・・・んんふ、・・・ん・・・」
息が弾み、声を押し殺す自分に気付く。
スポンジが胸の上を滑り、乳首に摩擦が与えられる度に吐息が洩れる。
(「これ以上は・・・いけない・・・・・このままでは」)
高だかスポンジで擦られる程度の刺激で・・・・・この身体は敏感すぎる。
自分が飲み込まれて消えてしまいそうな気さえする。
怖くなって腹部から尻、太腿へ洗う場所を変えていく。
やがてほぼ全身を洗い終える。後は一箇所を残すのみ。
女性がどうなっているか、形や機能くらいなら解っている、洗い方も想像がつく。
しかし、ここには出来ることなら触れたくない。
先ほど自室で、ここを目にしただけで魅入られてしまったのは、
この身体の秘める魔性の仕業。そんな気さえしている。
心には性欲すら己を鍛える為の爆発力にしてきた自負があった。
その彼をして、この身体のもたらす快楽には抗えない予感がある。
なるべく刺激を与えぬように、そっと泡を塗りつける。あとはこれを流せばよい。
シャワーの勢いを少し弱め、洗ったのと大体同じ順に流していく。
胸の泡も何事も無く流せた。
「ふーッ・・・」
少し気が緩む。腹から尻、太腿にかけて泡を流していく。
へそ付近が気になり、下から上へ戻そうとした瞬間。
お湯がアソコへ直に当たる。
仕舞ったと思う暇もなく、柔らかなその肉は水流に押し退けられ、
閉じられていた桃色の秘唇がお湯に晒される。
「ふあぁ!!」
温かな流れが、刺激から護られてきた敏感過ぎる秘唇にぶつかり、弾き、弄り続ける。
(「シャワーを退かさなければ‥・・)」