12

 闇の中、男と女が裸で絡み合っている。
 女は、いや少女はまるで幼女のような幼さを、その身に色濃く残している。
 にもかかわらず、匂い立つような色気を纏い、幼い身体に不釣合いな雌のにおいを放つ。
 あまりに歪な魔性の美だ。
 対する男は、太い。丸太のような四肢、全身を分厚い筋肉に鎧われている。
 無駄なものの一切を削ぎ落としてシェイプした肉体であるためだろうか、異常とも言えるほど発達した上半身と下半身に比べ、それをつなぐウエストは筋肉の柱のようでありながら、アンバランスなほどに細く見える。
 骨格のみを見れば、身長に比してずいぶんと長い手足だが、太さのせいで全身が寸詰まりな印象すら覚える。
 その動きがあまりになめらかなため、鈍重さは微塵も感じられない。
 皮膚は褐色の鞣革をはりつめたようだ。二本足の、野生の獣そのものだ。
 少女の細く白い身体は、胡坐をかいた男の膝に座るかたちで抱きかかえられている。
 男の首に腕をまわし、その耳元で何事かを囁くと、男は静かに頷き返し、二人の唇が重ねられた。
 大きく無骨な手が外見に似合わぬ器用さで、少女の乳房を愛撫する。
 そのささやかなふくらみは、すっぽりと掌に収まってしまい、透けるように白い肌の中で桃色に色づく蕾が、痛々しいほどに充血している。
 男の指がその二つの蕾をつま弾くたび、少女は甘い声で啼く。
 うしろに仰向けに寝転がると、少女のか細い腰を抱えあげ、その秘裂に舌を這わせる。
 舌先で器用に陰核を露出させ、そのまま舌でころがす。
 唇をすぼめて口中に含み、緩急をつけて吸引し、音をたててしゃぶる。
 少女の嬌声がひときわ大きくなり、ビクビクと痙攣する。
 そのまま休む間を与えず、今度は舌先で花弁をなぞり、唇でやさしく食み、ひっぱり、閉じ合わす。
 唾液まみれになるまで舐め回し、舌で胎内に侵入する。じっくりと、そのすみずみまで味わう。
 小さく幼い身体と正比例して、その入り口はとても小さい、男の舌だけでいっぱいになってしまいそうだ。
 処女の証に舌だけで辿りついてしまう。指で探ったら、それだけでまぐわいと変わらないだろう。
 男がこのさきをどうするか考え込んだ瞬間、少女のお返しが始まる。
 その小さな口で、男のモノを咥えようとする。
 しかし、少女の口が小さいのと、男のモノがあまりに長大であるのが相まって、亀頭の半分ほどを咥えるのが精一杯だ。
 男のそれの太さは少女の手首とさほど変わらず、部分によってはさらに太い。
 仕方なく少女は含みきれる部分を咥え、そのまま尿道口と周辺を舐める。
 いったん口を放すと舌先でちろちろとカリや裏スジ、舌の届く範囲をアイスキャンディーのように舐め、キスするように吸う。両手で握り、ときどき思い出したように根本からしごく。
 小さな身体を抱きあげられてペニスにむしゃぶりつく様子はまるで、安心しきった仔猫が玩具にじゃれ付いているように、無邪気で微笑ましくすら見える。
 少女の懸命な愛撫が気に入った男は、さきほどまでに倍する執拗さで少女をもてあそぶ。
 ふたたび陰核を口に含み、何回も刺激を与えたあと、完全に包皮から露出させ、空気に触れるのすら初めてかも知れぬそれを指でそっと摘まみ、痛み一歩手前の強い刺激を与える。
 同時に舌で胎内に侵入し、少女が自ら浸潤するのを促す。
 少なめながらようやく溢れだした愛液を舌先ですくい取り、少女の秘裂に塗りつけ、拡げていく。
 不意に男はニヤリと笑うと、舌を菊門へと這わす。
 少女は尻をふって嫌がるそぶりをみせるが、かまわずに舐め回して愛撫を続ける。
 ヒクヒクうごめきだしたそこに、つぷりと舌を挿入すると、少女は吐息をもらす。
 舌でかき回すうちに少女は腰をくねらせ始め、吐息が鼻声に変わっていく。
 菊門をほぐしつつ、舌ですくい取った愛液を表面に、そして中にも丹念に塗りつける。
 頃合いを見計らい、節くれだった太い指をピンクに色づいた菊門へと、ゆっくりのめり込ませる。
 思いがけぬほどすんなりと、少女の菊門はそれをのみ込んでいく。
「いやぁ‥ん‥‥ダメぇ‥・・おしり‥ダメぇ‥‥いやなのぉ‥‥おしりぃ‥‥」
 言葉とは裏腹に、菊門は男の指を根本まですっかりくわえ込んでしまう。
 引き抜かれる指に肉襞がまとわり付いて、いっしょに引き出されてしまいそうなほど、きつくきつく、キュウキュウと男の指を締め付けてくる。
「ダメぇ‥‥おしり‥熱いよぉ‥‥熱い‥熱いのぉ‥・・へん‥‥変なのぉ‥‥」
 じゅぷじゅぷと湿った音を立て、何度も指が出し入れされる。次第に少女の息は荒くなり、肩で呼吸を始める。
 肩が上下するリズムに合わせるように、菊門に力が籠もり、男の指を強く締め付けてくる。
 少女は涙まで流して首をふり、イヤイヤをする。
 しかし、まるでそれを嘲笑うかのように腰が勝手にくねり、より深く、より激しく男の指を迎え入れて、貪欲に快楽を貪ろうとする。
 愛液の溢れる量が目に見えて増える。だがそれでも絶対量はあまりに少ない。
 濡れ難いのは体質なのか、それとも幼さ故なのか――
「変だよぉ‥‥おしり‥変なの‥‥おしりが‥いいの・・‥気持ちいいのぉ‥‥あっ‥ダメぇ‥熱い‥
 ‥‥ねえ‥‥僕‥わるい子?‥‥心は‥心は‥いけない子なの?‥‥僕‥おかしいの?」
 男は少女の目を真直ぐに見て笑いかけ、静かに首を横にふった。
 涙にぬれたままの顔で、少女は笑みを返す。心の底から安心したという感じの、可愛らしい微笑みだ。
 こんな笑顔を見せられては、誰もが彼女を守りたいと思うだろう。否、それは守りたいという希望ではなく、守らねばならないという強制に、義務に等しいものだ。
 安心したためか、少女はふたたび男のペニスを愛撫する。両手でしごき上げ、舌を這わせていたが、急に手を休めると、さも愛しそうにそれに頬擦りを始める。
「僕‥‥おちんちん欲しいの‥‥好きなの‥‥ちんちん‥‥いいな‥ちんちん‥‥いいな‥欲しいな‥‥」
「そうかそうか、ちんちん欲しいか。よし、じゃあ少しだけ、ちょっとだけ貸してあげような」
 初めて男が口を開き、声を発した。まだ若く、少年のように透き通っていながら、低く落ち着いた声色だ。
 少女を気遣うやさしい口調、どことなく、詩でも吟じているような雰囲気が漂う。
 (これは……これは夢だ。夢なんだ‥‥)
 心は最初から一部始終を見ていた。テレビか映画でも見るような第三者の視点から。
 男は紛れも無く自分自身、かつての、男のときの心に間違いない。
 そして少女は現在の、女の子の心だ。一つだけ今と違うのは、その髪が写真で見たときのように長いこと、腰まで届く明るい栗色の髪が、汗でその裸身にまとわりついている。
 ――もしも心が、もう少し落ち着いて周りに注意を払っていたら、二人を包む、夢の中を埋め尽くす闇が単なる暗闇でないことに気が付いたのかもしれない。
 その闇は、それ自身が生き物のように蠢き、微妙に表情を変え続けていた――
「本当?! ほんとにちんちん貸してくれる?」
「ああ、本当だよ――ただし、ちょっとだけだぞ? 今だけ特別にだ」
 少女に笑顔でこたえながら、男は少女の花弁が十分に潤っているか、確認することを忘れない。
 まだ少し、濡れ方がたりないようだ。これでは少女の大切なところが壊れてしまうかもしれない。
「ありがとう‥‥お兄ちゃん‥大好き‥‥でも‥‥どうやって貸してくれるの?――あっ!あぁん」
 男は少女の花弁を甘噛みし、入り口を吸いはじめた。舌を胎内にふたたび侵入させる。
 もちろん先ほどからずっと、指は菊門を攻め、陰核をもてあそび続けていた。
「あぁん‥いやぁ‥はぁん‥はぁぁ‥‥はぅ‥うぅ‥‥いやっあぁああん……ダメぇ‥‥イジワルぅ!!
 お兄ちゃんのイジワル……やめて‥‥こたえて‥‥」
「いじわるじゃないんだ、これは貸すための準備なんだ」
「そう‥‥なの?‥‥でも…でもぉ‥‥また、僕おかしくなっちゃうぅ‥‥」
 どうやら膣口に刺激を与える程度では、愛液の分泌を促す効果がうすいようだ。
 男はさらに舌を尿道口へと伸ばし、新たな刺激を試みる。
「ああぁん‥‥うっく‥ぃぅう‥‥ぁぁああん‥やぁん‥そこ……おしっこの‥‥だめ‥だめぇえ!!」
 新しい、強い刺激が必ず愛液の分泌に結びつく訳では無いらしい。しかしこのまま『貸して』、もし彼女の『女の子』が取り返しのつかないことになったら――それだけは絶対に避けねばならない。
 彼女は何があろうと守らねばならない――男はそう考えている。
「ちょっと、試しに貸してあげよう。これがちゃんと貸すときの準備代わりになるから‥‥」
「うゆ‥ぁ‥‥ほんと?」
「さあ、おいで‥‥」
 男は少女をふたたび抱えあげ、自分の身をおこすと胡坐をかいて彼女を膝に座らせた。

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