16

「立てよ、カイト」
 いつものようにムラタの監視の下、カイトへの責めが与えられる。
 古びた教室のひび割れた黒板には『祝! カイトちゃんの初潮まであと1日』と大書された紙が貼られ、その上から日数の数字が貼り付けられている。
 毎朝測定されるデータをもとにムラタが予想したカイトの初潮は明日だった。
「おまえさあ、特別に性教育の授業受けたんだろ? ナプキンの付け方とかちゃんと覚えたか?」
 そう言って浩司はお気に入りの玩具のようにカイトの胸を下からたぷたぷと持ち上げた。
 カイトは赤くなって、胸をかばった。
 性教育のビデオは強制的に見せられていた。ムラタはわざわざそのためにテレビモニターを教室に運んでこさせている。
 小学生女子用のビデオ教材で、女性の二次性徴から生理の仕組み、生理用品の使い方、さらには避妊についての考え方まで、教え込まれていた。
 ムラタがそばにいてその場でテストされ、答えられなかったり間違ったりすると即座に杭の責め具で貫かれるという罰が待っていた。否応なくビデオの内容を頭に叩きこまないわけにはいかなかった。
「恥ずかしがってるってことは、どうやら色々学習したみたいじゃん。オレたちさ、介意とちゃんの初潮を祝うために特別サービスで赤飯のパック買ってあるんだぜ。楽しみにしててくれよな」
「ゴチャゴチャうるさい!」
 カイトは羞恥心を隠すように大声で叫んだ。
 イライラする気分を自分でも抑えにくくなってることにカイトは気付いてた。ムラタに教えられた通りだ。
『生理中や直前の時期などに、情緒不安定に陥ることがある』
 それがいまカイトの身に起きている。どんなに女にされたことを拒もうとしても、体のほうは忠実に女としての生理活動を続けていく。自分自身の体が「女であること」を無言のうちに突きつけてくる。
「なにぼうっとしてんだ。おトイレの時間だろ、カイトちゃん」
「放せよ。便所くらい一人でいける」
「堅いことゆーなって。俺らがエスコートしてやっから遠慮すんなよ」
 いつものように服の下に手を入れられて胸のチェーンを引っ張られると思ったカイトはとっさに両手を胸の前に引きつけてガードした。すると、浩司は舌打ちして、代わりに首輪のほうを掴んだ。
「あうっ!」
 グイと引っ張られると踏ん張ろうとしてもあっさり力負けして引き寄せられてしまう。
 女の華奢な体では、男の腕力の前にまるで歯が立たない。どんな意に染まないことでも、腕力で強制されてしまいそうだ。
 首輪で引き回されて連れて行かれた先は、男子トイレだった。
 ここしばらくは毎度女子トイレで用を足すことを強要されて、女であることを思い知らされてきたというのに。
 トイレ内に入ると、カイトは個室を開けようとした。
 もはや小用であっても、個室のほうへ向かう癖がついてた。しょせんいまのカイトは立って用を足すことなどできないのだから。
 ところが、個室の戸が開かない。よく見ると、全ての個室の戸に南京錠が掛けられていて、入れないようになっている。
「……どういうつもりだ?」
「別に。先にションベン済ませなよ。したら、個室の鍵開けてやるから」
 わけのわからない命令にカイトは戸惑った。
 女の体の構造で立って放尿することがいかにままならないか、もう身に沁みて知っている。
 またいつかのようにカイトが立ち小便できずに尿を漏らしてしまうのを観察するつもりなのか……。
 尿意がこみあげてきて、カイトはわけがわからないままブルマをずらした。
 しかたなく腰を屈めて朝顔との距離を近づけようとすると、「待った」と声をかけられ、背後から股の間に指を突っ込まれた。
「あっ、ひうっ、なにする!」
「すっかり女の子のオシッコが身に付いちゃってまあ……でもな、今日は立ってやってもらうよ、カイトちゃん。昔みたいに男同士の連れションといこうや」
 花弁の間に割り入れられた指をクイと持ち上げられ、カイトは小さく叫んで立ち上がった。
 浩司の指がぬるんと膣の中に入ってくる。それだけでカイトの体は男を受け入れる態勢になって、蜜を分泌し始めた。
 浩司と一緒にいた少年たちは心配そうに浩司に詰め寄った。
「オイ、消毒してないのに指突っ込んだりして、またムラタに怒られても知らないぞ?」
「そ、そうだな。いまのは黙っててくれ」
「黙っててもいいけど、代わりにこの調教はボクにやらせてくれよ。なんだか最近、浩司ばっか調教役でずるいよ」
「はぁ? おまえらだってローテーションでこいつの穴にチンポ突っ込んでんだろ。文句言うなよ」
「でも……」
「カイトをいたぶるのは俺の役目だ。お前らは黙って手伝ってりゃいいんだよ! おこぼれに預かって童貞捨てれたんだ、おとなしく見てろ!」
 不満そうな少年は浩司に胸ぐらを掴まれて黙ってしまった。
 元々カイトの被害者だった者が集まってるのだが、気弱ないじめられっ子タイプが多い中で浩司はまともにカイトと喧嘩をして叩きのめされたクチだった。当然、他の少年達に睨みがきく。
「お待たせカイトちゃん。ションベンしちゃいなよ」
「そんな……こぼれちゃうだろ……」
「おっとと。そうかぁ、カイトちゃんチンポないもんなぁ」
 浩司はこれみよがしにカイトの隣で朝顔に向かって放尿した。カイトは尿意を催しているのに出すものを出せずもじもじとしている。
「へへへ、いいモンがあるんだ。コレ使いなよ」
 浩司は透明なシリコン製の張り型を取りだした。ペニスの根本にあたる部分が漏斗状になってて、その中央から管の先端が飛び出している。
 その意図は明らかだった。
 管の部分を尿道口にさしこんで使えというのだ。
「こんなのいるか。もう、普通にやらせろよ!」
「『私女の子だからしゃがんで用を足させて』って可愛く言ったら許してあげるけど? 自分が身も心も女の子だって認める?」
「オレはっ……オレは男だ」
「じゃあ、証明してみせないとな!」
 カイトは手渡された模造品のペニスを見た。そんなものを使うのは最悪の屈辱だ。かといって、もう我慢が辛いほど尿意が差し迫っている。
「くっ!」
 カイトはやむにやまれず模造ペニスを握りしめた。
 もう片方の手で股間をまさぐり、可憐なサーモンピンクをした花弁を自らの指で押し開いた。
 おお、とどよめいてギャラリーの少年たちがカイトの股間に顔を寄せる。
(見られてる! ああっ、見られてる!)
 羞恥心で紅潮しながらカイトは模造ペニスの管を女性器にあてがった。
 女の体にされてから、そこの部分をまともに自分で確認したことはない。いままでの排尿では、正確にどこの部位から尿が出てるかなど気にしたこともなかった。
 指でまさぐり、穴の部分に管を入れた。
(あ……)
 カイトは誤りを悟った。
 挿入のときの感触が、いままでバイブやペニスを突っ込まれたときと同じだったのだ。ということは尿道口ではない。
「ん〜。そこ、違うんじゃないのォ? カイトちゃんがソコ好きなのは知ってるけど」
 ニヤニヤしながら浩司が指摘する。
 カイトはムラタから受けた性教育の特別授業を思い出した。女性器の構造についても無理やり図解を見せられていた。
 膣から真っ直ぐ上に指を這わせると、もうひとつの穴があった。触れた瞬間、本能的にそこだ、と分かった。
「そうそう。オシッコの穴はそこじゃん」
「う、うるさいっ!」
 管の位置をずらして尿道口へとさしこんだ。膣に挿入されるときと違う奇妙な感触にカイトはブルリと震えた。
 完全に模造ペニスを所定の位置にセットしてしまうと、まるで股間に男のモノが戻ったかのようだった。ペニスを掴んでいる懐かしい感覚に不覚にも涙してしまいそうになる。
 だが、カイトの姿は浩司たちから見れば、もっとエロティックなものだった。下半身をはだけた美少女がシリコン製のペニスを股間にあてがって感動しているのだから。
 束の間男に戻った錯覚に浸っていたカイトだったが、突然後ろから胸を揉まれて現実に引き戻された。
 後ろから体を密着させた浩司に胸を鷲掴みにされ、いやらしくこね回された。カイトに自分の立場を教え込むように執拗に胸を弄られる。
 胸の中に敏感な芯でもあるように、乱暴に揉まれるとジンジンと痛みを感じてしまう。
「くふぅ……ああっ!?」
 チョロチョロと尿が流れ出した。
 女の体だと、ほんの少しの刺激だけで尿が漏れてしまう。一度放尿が始まってしまうと自分の意志で止めることはできない。
 黄色い液体がシリコンの模造ペニスを通って放出された。
 その間にも浩司は気持ちよさそうにカイトの胸をもみしだく。揉みたくりながら、ときおり布越しに乳首のあたりをつつき、ピアスとチェーンの存在をカイトに確認させようとする。
「やめろォ……人の胸、さわんな。アンッ!」
「チンコに集中しとけよ。こぼしちまんぜ?」
 胸を揉み回す手を休ませず、浩司は耳元で囁いた。耳元の声にカイトは性的な快感を覚えてしまった。
 胸を掴んだ指を固定し、ブルブルと震わせる責めは快感を増幅させた。
 浩司によって弄ばれたまま、カイトは排尿を終えた。
「そのシリコン・ペニスは自分で洗っとけよ。今後も使うかもしんないからな!」
 股間からシリコン・ペニスを引き抜くと、尿とは違うぬめった液でシリコンと股間の間に糸が引いた。
 いっときの戯れのために持たされた模造品のペニスだったが、それを取り外して再び両脚の間がツルンと何もなくなってしまうと、改めて女の身体を与えられたとを自覚せざるを得ない。
 トイレの時間が終わると、カイトは今日セックスの権利を持つ少年に股を開かされた。
 相手の少年は、製薬会社社長の息子で、カイトにとっては「財布」同然の存在だった。髪を掴んで頬を叩くと、叩いた回数だけ万札が出てくる。そういう相手だった。
 その少年にいまはカイトが性処理係として奉仕している。
 包茎のペニスを手でしごいて勃たせると、ゴムをかぶせていく。
 ゴムの利用は、ムラタからの指示でもあった。また、知りたくもなかった知識で、カイトはいまの自分が「妊娠」の可能性すらあることを、実感は伴わないものの頭では理解していた。
 いつものように顔をギラギラとさせた少年がカイトを犯し、それを他の者たちが見物した。
 ひ弱な少年にも腕力で勝てなくなったカイトはただひたすら嵐が過ぎるのを待つように少年の未熟な腰使いに身を任せ、犯された。
 そして、これまたいつものように授業時間が始まると彼らは引きあげていく。
 一人になって、カイトは自分の胸をそっとさわってみた。
 自分の胸なので気を付けて、ゆっくりと優しく触った。乳房がいままでより腫れぼったいようだ。乳首を少し触るだけでいやな痛さが残る。
「くそ、これが胸が張ってるってやつなのか……」
 たまたま目に入った黒板には、『祝! 初潮まであと1日』とある。それが正しいとしたら、明日には生理がきてしまうのだろう。そして体の変調はそれを裏付けてる。
『君の体は男の精を受け入れて子を孕むための準備を始めてるんだ。君の心とは関係なくね』
 ムラタが口にしていたおぞましい言葉だ。
 カイトは腹を押さえてうずくまった。
「孕むための準備だって? 悪い冗談だ! やめろ、やめてくれ!」
 腹の奥で子宮のベッドに眠る卵子の存在が感じられるようで、恐ろしかった。これから毎月、毎月、カイトの体が子を孕むための準備を繰り返すのかと思うと……。
「オレは男でいたいんだ……」
 地に向かってつぶやいたカイトの声は震えていた。
 その晩、訪れた葵にカイトは自分の体に生理がいつくるのかと尋ねた。
「そのときがくれば分かるから」
 としか葵は答えなかった。またそれ以上分かるはずもなかったろう。
 カイトはなおも葵に食い下がろうとして、不意にある違和感を覚えた。
 葵がいつも漂わせてるシャンプーと石鹸の清潔そうな香りに混じって、違う匂いを感じ取ったのだ。
 海……潮……違う、これは!
「血……の匂い?」
 不思議そうにカイトはつぶやいた。
 するとなぜか葵が恥じ入ったような素振りをみせた。
「やだ、カイト君……」
「なんでだ? いま一瞬、たしかに血の匂いがしたんだ」
「それは、その……」
「おまえも感じたか?」
「それね、たぶん私。いま、生理の最中だから……」
 言いにくそうに葵は告げる。カイトは頭をブン殴られたような衝撃を受けた。
「昨日の夜から始まったの。やっぱり女の子同士だと分かっちゃうんだね」
「そんな……」
 いままで一度として匂いで誰かの生理が分かったことなどない。女という同族になったことで、生理の匂いに敏感になった。そういうことだというのか。
「カイト君の体も生理前でしょ。そういうときって、女の子は血の匂いとかにすっごく敏感になるの。女の子同士で一緒に暮らしてると、生理が伝染っちゃったりするっていうしね……きゃっ!?」
 カイトは乱暴に葵の胸をつかんで、ねじった。
 自分が浩司にやられたように葵の胸のふくらみをこねあげる。大きさこそカイトの胸よりこぶりだが、ピンと張りのある胸だ。
「や、やだ、カイト君? どうしたの、急に!」
「忘れたのか? オレは男なんだぜ。女を見りゃ、こうして自分のものにしたくなるんなだよ!」
 セリフこそ男そのものだが、細く甲高い声でカイトは言う。
 葵のブラウスのボタンを引きちぎると、その下のブラをずらし、カイトは荒々しく葵の胸にむしゃぶりついた。乳首を口に含んで、本能的に女が感じるようなやりかたで口中転がした。
「い、いやぁぁっ!」
 葵は必死でカイトを押しやると、胸を隠して二、三歩あとずさった。
「……行けよ!」
 カイトは叫んだ。
「カイト君、どうしてこんなことするの?」
「早く行けよ! オレに押し倒されたいか? 早くオレの前から消えやがれっ!」
 自分の口調がヒステリックになっていくのをカイトは抑えられなかった。
「ごめんね……」
 なぜか謝罪の言葉を口にすると、葵は追い立てられるような足取りで教室を出ていった。
 葵を追い出すと、カイトはそうっと椅子に腰を下ろした。乱暴に座っただけで生理がきてしまうような恐怖感がある。
 自然とため息が出てきた。自分の取り乱した姿に。
 葵がそばにいるだけで、自分まで彼女の同族と化していくような気がした。彼女と二人でいるのが「女同士」なのだと認めたくなかった。その心理のために葵を追い出したのだ。
「はぁ……。なんでオレはオレなのに、体だけこんなに『女』になってくんだ……」
 窓ガラスには、怯えた少女の姿が映っていた。

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