28

 あれからもう2ヶ月程が過ぎた土曜日の朝、三木原家はいつもの朝を迎えていた。
 そう、ほんの2ヶ月前から「日常」となってしまった週末の朝である。
「ひあああぁぁん! ダメぇ、そんな……そんなに突き上げないでえぇ!!」
 ベットの上であられもない声を上げてよがる女と、それをさらに責めたてる女。
「朝からはげしすぎ……ひゃふうっ! あぁっ、イくッ、またイっちゃううぅぅ!!」
「あははっ、いいのよ令、遠慮しないでイってしまいなさい!!」
 ベットの上で交わる二人……令とセネアは声を張り上げて互いをむさぼっていた。
 セネアが上に乗る令を下から突き上げるたびに、令は甘い声を上げさせられてしまう。
 そして何度目かの突き上げと同時に、令の膣に熱いものが注がれる。
 途端、その満たされる感覚に反応したかのように、令の身体がびくんと奮えた。
「ふあっ、ああああああああああぁぁぁ――――ッ!!!」
 絶頂を迎え、令は身体を弓なりに反らせて悦びの声を上げる。
 起きて1時間も経っていないのに、今日早くも3度目の絶頂だった。
 全てが白濁した感覚……その頂が過ぎると、令は糸が切れたかのようにふっとセネアの上に倒れこむ。
 そんな令の頭をセネアは優しく撫でて微笑んだ。

 結局あの騒ぎの後、セネアは済し崩し的に三木原家に居付いてしまった。
 当然始めのころは静奈が反対したが、結局大学やらなにやらで家を空ける事が多かったが故か、結果としてそれを阻む事はできなかったのである。
 何故か近所の人達は、いつのまにか増えた家族に何の違和感もなく接していた。
 どういう理屈かはわからないが、まあそれも多分セネアの”力”か何かなのだろう。
 向いの家のお婆ちゃんが通り様に庭で涼んでいるセネアに挨拶し、それに笑って手を振るセネアの姿なんかを見ると、まるで最初からこの家に居たかのように思えるぐらい、今ではこの家に馴染んでいる。
 そして三木原家には、もう一つの別な日常が生まれた。それは当然、令の事である。
 いつのまにか学校、そして近所でも令の生活基準はすっかり女になっていた。
 無論表向きは「三木原 麗」なのだが、すでにそういう事を意識しているような者はいない。
 あのクラスには令の代わりにやってきた麗がいるのが日常になり、この三木原家には静奈とセネアと、そして麗がいるのが日常となっていた。
 突然の変化もそれが続けば、それはただの日常になる。ましてその変化を感じる事がなかった場合、それに今までとの差異を見付ける事はできない。
 結果として今、それが変わった事を意識しているのはごく一握りの人間だけであった。
 当然その中には、当事者である令本人も含まれる。

「令ったら、朝からずいぶんと激しく感じれるようになったわね。
 もうすっかり女の子の悦びを覚えちゃったんじゃない?」
 傍らで余韻覚めやらぬ息を吐く令を見下ろしながら、セネアがからかうように語りかけてくる。
「身体は本当にもうすっかり女の子よね。それなのにまだ女ものの下着や洋服には免疫がなくて赤くなるんだから、不思議だこと」
「そりゃ……そうだよ。いままでの人生ずっと男だったんだから、ちょっとやそっとでいきなり心まで女になれなんて不可能だもの。へたをすれば、一生心は変わらないかもしれないよ」
 少々困ったように令はセネアに答える。それは令の最近よく考える事だ。
 令自身としては、セネアを受け入れるのを決めた時に覚悟はできていたのだと思う。
 そう、心まで女に変わってもかまわないという覚悟が。
 ところが実際には、令の心はいつまで経っても男の頃のままだった。
 身体が女になってすぐの頃、心が肉体に引きずられるような錯覚に脅えていたのだが、いざ時が経ってみてもそのような事はなく、相変わらず価値観は男のままであり続けた。
 正直最近は心も女になれた方が気が楽なのにとすら思える程、不思議と男の価値観が揺るがないのである。
 それ故今でも相変わらず女の身体が生み出す快楽には翻弄され続けていた。
 もっともSの気のあるセネアには、それはそれで嬉しいらしいのだが……。
 そんな令にセネアは優しく微笑む。
「大丈夫、時が来ればきっと貴方も母性に目覚めてるはずよ」
「…………。」
 セネア意味ありげな言葉で令をさとすが、令にもその遠まわしな意味は理解できる。
 それは令がセネアの子をなす事。令が本当に女になる事だ。
 しかし、令はそれを聞いて微かに顔を曇らせる。
「でも……可能性、低いんでしょう?」
 それはセネア自身から聞いた事だった。いくら令が適合者とはいえすぐに子をなせる訳ではなく、それどころか受胎する可能性は限りなく低いらしい。常人と違い「ゼロではない」というだけ
 なのだそうである。淫魔が子をなすとはそういう事らしい。
 セネアに初めて精を注がれたあの日の覚悟は、令の豪快な一人相撲だったのである。
「そうね、その通り…………」
 セネアも少々気落ちしたように令を撫でる……が、突然その手が令の足に伸びた。
「……だからこそ、その可能性を少しでも上げる努力をしなくてはいけないわね!
 さあ、今度は何分でイっちゃうのかしら!?」
 突然片足を抱え上げられたかと思うと、そのまま一気に身体を滑り込まされる。
 あまりに見事な姿勢の入れ換えに令は身体を動かして抵抗する間すら取れない。
「ま、待ってセネアさん! イったばかりだからまだ……もうちょっと待ってよぉ!」
「だーめ! だって令たら、学校行ったら休み時間やら放課後やらに、瑞稀や和真としてるんでしょう?
 だから貴方が家にいる間は何があっても手加減してあげなくってよ」
「な! そ、それは……」
 鋭い指摘に令は一瞬言葉に詰ったが、すぐに諦めた。どういう言い訳であれセネアが止めるはずがないし、なによりセネアが言ったそれは嘘でもない。瑞稀と休み時間に話していたり帰りに家に寄ったりすると、何故かそういう行為に及ぶ流れになってしまう事があるし、和真も今だ諦めきれないという様子で偶に雰囲気に流されて体を預けてしまう事もあった。
 当然これも一種の浮気、それをセネアに指摘されては令に反論の余地はない。
「それに令、今日は昼までに10回はイかせるって約束したじゃない。まだ3回目よ?」
「そ、そんな違う! 朝は5回って……」
「あら? しっかり覚えてるのね。ま、約束の回数にはまだ達していないんだし、3回で音を上げようとしたペナルティでやっぱり10回ね」
「やあぁ! 待って、待ってってばぁ!!」
 令は身をよじって嫌がるが、セネアはそんな令の足を嬉しそうに持ち上げて令の動きを封じる。
 そしてそのまま挿入……かというところで、突然部屋の扉が勢いよく開く。
「ああもう! やっぱりまた約束破ったわねセネア!」
 勢いよく令の部屋に飛び込んできたのは静奈であった。
 静奈はベットで戯れる二人を見るや否や、怒ったというよりふてくされた顔で歩み寄ってくる。
「セネア! 週末は私が帰ってくるまで待ってるって約束でしょう!」
「ふふっ、ごめんなさいね。でもやっぱり令の寝顔を見ると我慢できなくて」
 さして詫びれる様子もなくセネアはちょっと御立腹の静奈に形だけ謝る。
 しかし静奈もそれに怒るような様子もなく、ふてくされた顔のまま上着のボタンを外し始めた。
「まったく自分だけ先に楽しんで……気持ちはわかるけどずるいわ」
 不満をぶつぶつと口にしながら、静奈は次々と服を脱いでゆく。傍から見ればちょっと異様な光景である。
 だが令は、この突然の来訪者を見ても慌てる事もなく、脱力するような溜息をついただけだった。
 なにしろこれも”週末のいつもの日常”になってしまった事なのだから。
 そう、結局当初は反目していた二人だったが、いつのまにやらこんな調子の関係になっていた。
 令にしてみれば”似たもの同士で気が合った”のだと思う。
 当初は確か「どっちが令を本気で愛せるか」などという意地の張り合いで、令が失神するまで交互に抱かされ続けたのがきっかけだと思ったが、細かい経緯は忘れてしまった。
 そもそも性行為=愛っていう公式もちょっと違うんじゃないかと令は思うが、この二人にそんな理屈は通用しない。
 ともかく今は週末になると静奈が帰ってきてコレである。
 初めは互いに「自分の目の届く範囲でなら」みたいな事を言っていたような気もするが、どうも最近は「二人で令を責める」事を楽しんでいる気がしてならない。
 喧嘩されるよりは良いとはいえ、令にとっては災難以外の何者でもなかった。
 なにしろ唯ですらそういう事に長けた二人である。
 その二人が同時に令を責めるのだから、これはもう楽しめるレベルの快楽ではない。
 最近ではもう週末ごとにフルマラソンでも走っているような気分であった。
「そういえばセネア、ようやく”アレ”が出来たわ。さっそく試してみましょう」
「あら? 意外に早かったのね」
 すっかり服を脱ぎ捨てた静奈が嬉しそうに持ってきた鞄をあさり始める。セネアとの奇妙なやりとりに令は興味半分で何が出てくるのかを見ていたが……取り出された”それ”を見た途端に脱力する。
 静奈の手に握られていたのはディルドーだった。多分バンドに付けるタイプだ。
「なに? 令ったら突然溜息なんかついて……嬉しくないの?」
「いや、姉さんらしいというか何というか……。それに姉さん、そんなの沢山持ってるじゃない」
「ふぅん……そういう事言う」
 呆れたような令の視線に静奈は一瞬ムっとするが、そのまま意味ありげに笑うとセネアの脇に立ち、そのディルドーをセネアの秘部から生えた肉棒の横に持ってくる。
 意味ありげにディルドーを揺らしてセネアのそれと比較させるような静奈の仕草で、令はようやくその真意に気がついて顔を青くする。
「そ、それってまさか!」
 それはかつてセネアの秘部から生える自身のそれに気がついた時と同じ類の驚き。
 そう、多分そのディルドーは……そんな令の反応に二人は満足そうに笑った。
「静奈に前、令が一番感じるモノの話をしたのよ。そうしたら……ね。
 令も内心、嬉しいのではなくて?」
「ななな!、そ、そんな事ないってば!!」
 何故か思わず慌てて否定する令だったが、そんな令に静奈が悪戯じみた笑みを浮かべる。
「あらそうかしら? じゃあ今から試してみましょう。とりあえず昼まで20回って約束だものね」
「そ、そんな! ち、違うってば!! 5回っていうのをセネアさんが無理矢理10回って……」
 吹っ掛けられた回数の更に倍を言われて狼狽し、令は必死に反論するも、それの解答は静奈の予想の範疇だったようだ。慌てる令に静奈は意味ありげにくすりと笑う。
「だからセネアが10回、私が10回でしょう? さあ令、お昼までは時間がないから連続でイかせてあげる。覚悟なさい!」
「そ、そんなぁ! 無理、絶対に無理だってば!」
 令はあまりの提案にベットからの逃亡を図ろうとしたが、腰を浮かせた途端セネアに素早く抱きしめられ、その動きを封じられてしまう。男の時ならともかく、今ではこのメンバーの中で一番華奢な令に
 それを振りほどくだけの力はない。
 だが、セネアはそのまま無理矢理に事を進めるような真似はしなかった。
「令、本当に嫌?」
「え……」
 セネアは唇を眼前まで近づけ、優しく令に語りかける。
「本当に令が私達を望まないなら……無理強いはしなくてよ。私も令が嫌がる事を進んでしたくはないもの」
 そんなセネアの静かで優しい口調に、令は何故か逆に罪悪感のようなものを感じてしまう。
 令としても別にセネア達を拒んでいるわけではないのだから。
「いや、その……そういう意味じゃなくて、その……」
「じゃあ、どういう意味なの?」
「その……ね、僕はまだその……女の子の感覚に慣れてないから、もうちょっと手加減して欲しいなって……」
 まとまらない思考の中で令は曖昧に言葉を濁すように答えるが、結局その言葉が墓穴を掘ってしまった。
 それを聞いた途端に、セネアと静奈は申し合わせたように笑う。
「聞いた静奈? 令ったら、女の子の感覚に早く慣れたいそうよ」
「あら、それならお手のものよ。令ったら、それなら遠慮せずに言えばいいのに」
 露骨に邪悪な笑みを浮かべる二人を見て、令はまたやられれたと心の中で絶望する。
 実はいつも二人が揃うとこんな調子で、結局今日もまた、二人の手の平の上で踊らされるハメになってしまった。
 毎度の事だが今回も令に選択権は無さそうだ。いや、多分今後もないだろう。
 とはいえ、それが判かってなお不快な感じはしなかった。
 強引とはいえ、それが自分を好いていてくれているが故の行動なのだから。
 多少悔しくはあったが……。
 結局令は今日もあきらめた。抵抗が全て無駄に終わるなら、受け入れた方がいい。
 それに正直に言えば嫌いでもなかった。女の子の快楽が……次々と新しい悦びを二人に教えられる事が。
 二人ともそんな令の気持ちを見透かしてはいるのだろうけど、好きなんだからしょうがない。
 諦めたように溜息をつくと、そのまま令は二人に微笑んだ。
「もう……やさしくしてよ? 二つ同時とかって乱暴は嫌だからね」
 突然しおらしく笑った令に、セネアと静奈は一瞬狐につままれたかのような顔をするが、その淫靡な空気が一瞬で晴れてしまったためか、二人同時にくすくすと笑い出した。
「わかったわよ令ったら、そんな顔で言われると嫌だって言えないじゃない」
 と、セネアは優しい顔で令を見据える。
「反則技よね。だから余計に苛めたくもなっちゃうんだけど……」
 静奈も少し拗ねぎみに笑う。結局3人とも、なんとなく場の空気で笑い出してしまった。
 そしてしばしの笑いの後、静奈がゆっくりと令に抱き付いてくる。
「じゃあ次は私からでいいわね? このディルドーは初めてだから、最初は令の方で調整できるように私が下になるわね」
「あ……う、うん」
 小さい声で返事をすると、静奈はそのままベットに横になる。
 その股からは当然……セネアの、いや”男の令”を模した擬似的な男根が反り上がるように立っていた。
 令は顔を赤くして静奈の上にまたがると、ゆっくりと秘部をディルドーの頭頂にあてがう。
 当然の恥かしさはあるとはいえ、昔なら自分からなんてとてもできなかった行為だ。
 なにしろそれは自分が女である事を認める事にほかならない、抱かれる事を望む行為。
 だが今では心の価値観がどうであれ、いいかげん令も身体が女である事に慣れてしまった。
 それ故だろう、最近ようやくこうやって”女の子を楽しむ”事ができるようになった気がする。
 漠然とそんな事を考えながら、一瞬の躊躇の後、令は静かに腰を落とした。
「ひうっ……あ、ああ……あ、あ、ああぁッ!! ダメ、これダメえぇっ!!!」
 が、腰がその途中で奮えるように止まる。手に力を入れてこれ以上のディルドーの侵入を阻むが、快楽が手や足、そして腰に逃げるための力を加える事を許さない。
「なんか……本当に効果覿面ね。まだ半分も入ってないのに、令ったらもうイきそうじゃない」
 と、静奈は新しいディルドーの成果に関心したように呟く。そのまましばし令のあえぐ様を見ていた。
「でも令、まだ私が一回も動いていないのにイくなんて許さないわよ。それでイってもさっきの回数には入れないからね」
「そ、そんなっ……姉さんのいじわるっ!!」
「じゃあ我慢しなさい。さあ、いくわ……よっ!!」
 声と同時に静奈は腰を突き上げ、同時に令の腰に添えた手を一気に引き落とす。
 ずんっと子宮を突き上げられた衝撃が令の全身を貫く。ひとたまりもなかった。
「ふあっ、はあああああああああああぁぁぁ――――ッ!!!!」
 びたりとディルドーが鍵のように膣の中におさまる。さすがにセネアのモノのような肉感はないが、それでも”それ”が貫く感覚は令を絶頂に導くには十分だった。
「すごい、本当に一突きでイっちゃった……」
 静奈が関心したように自分の上で脱力してもたれ掛かる令を見る。
「だから言ったでしょう? これ以上の相性は存在しないって。令を悦ばせるんだから、やっぱり一番令が悦んでくれるモノを用意しないと」
 と、セネアがその成果に満足そうに笑う。そのまま静かに令の顔を見入るが……
「あらら、よっぽど良かったのね。気絶しちゃってるわ」
 見れば令はくたりと静奈に身を預けて静かに息をはいていた。
 しばし待ったが起きそうにもなく、結局静奈は名残惜しそうに令をベットに寝かせる。
「幸せそうな顔しちゃって……。セネア、どうする?」
 ちょっと不満そうに静奈はセネアに問う。それに一瞬考えるような素振りを見せたセネアだったが、令を顔を見るなり諦めたように頷いた。
「起こしちゃ可哀想だし、このまま令と寝ちゃうわ。貴方はどうするのかしら?」
「当然、そういう事は譲らないわ」
 静奈がセネアの問いに即答すると、二人はわかっていたとばかりに苦笑する。
 結局二人は申し合わせたかのように、仲良くベットの真ん中で眠る令を抱きとめるようにして、静かにベットに身を預けた。
 しばしの無言……そしてようやくセネアに睡魔が訪れた頃に、静奈が唐突に口を開く。
「セネア、今更だけどあなた令の事……」
「本気でしてよ。気持ちだけなら貴方にも、世界の誰にも負けない自身はあるわ」
「悪魔なのに?」
「悪魔だから……よ。本来持ち得なかった感情なのだから、人間より余程ピュアだと思うわ」
 よくわからない理屈だが、静奈は何故か納得した。多分それは理論以前に、セネアの口調から紛れもない本気……本当に令を愛してるという気持ちが読み取れるからだろう。
 そして今度はセネアが問いかけてきた。
「貴方はどうなの? 本来であれば、その感情を持つのは許されざる立場ではなくて?」
「本来であればね。でも気持ちは本物……。それにそもそも私を狂わせたのは、間接的とは言え原因はあなたなのよ? 多分令が男のままだったら、私は一生いいお姉さんで終わっていたでしょうに」
「”いい”お姉さん?」
「悪かったわね……」
 セネアの皮肉に静奈はむくれるが、それは険悪なものではない。
 そんな問答を二人でしばし繰り返していたが、いよいよもって二人とも眠くなってきた。
「じゃあ……起きたら第二ラウンド開始ね…………負けないわ……よ……」
 言葉とぎれに静奈が言う。その目はもう虚ろだったが、不思議と笑っていた。
「それはこっちの……セリフでしてよ。瑞稀や和真……貴方にも…………負け……ないわ……」
 セネアもそれに、どこか嬉しそうに答え……そして二人とも静かに目を閉じる。
 二人とも宝物を抱える女神のように令を抱きとめ、幸せそうな顔で眠りに落ちてゆく。
 そんな二人に抱きとめられた”宝物”は、一番幸せそうな顔で優く寝息を立てていた。

 ANGE OU DEMON 〜天使か悪魔か〜 完

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