23

 カイトが家に戻ってくると、ちょうど♂カイトも学校から戻ってきたところだった。
「ふうん。買い物してきたのか」
「ああ」
「でも、それはオレの服だぜ」
 カイトの服装のことを♂カイトは指摘した。
(元々はオレのだ!)
 そう言い返したいのをこらえてカイトは頭を下げた。
「ポチ子は女の子なんだから男物着てちゃおかしいだろ。早くメイド服に着替えなさい」
 カイトの買ってきたものを吟味しながら♂カイトは頭ごなしに命令した。
 買い物袋の中からブラを発見して♂カイトはそれを引っ張り出した。
「ポチ子はオッパイでかいよなぁ、可愛い顔してさ。おっと、基本的にはいまオレも同じ顔だっけ」
 ♂カイトとカイトの顔は同じ遺伝子だけあって双子のように良く似てる。ただ、カイトのほうが女性ホルモンの影響かやはり睫毛が長く唇も幾分ふっくらしている。
「オレさ、昔はブサイクだったから、顔にコンプレックス持ってたんだよね。この顔になれて人生バラ色だよ」
 ♂カイトは学生服のままタバコに火を付けた。
(ちっ。オレの肺を勝手に汚すなよ)
「こんな美形になったおかげでエロゲー買うときも『モテないオタク』なんて後ろ指さされないで済むし」
(エロゲー買う時点で後ろ指さされてるぜ。くそ、オレの顔でそんな店に出入りしやがって……)
「ポチ子。これからは必ずブラをつけ忘れるなよ」
 メイド服を着ようとするカイトに♂カイトは新品のブラとパンティを放ってきた。
 カイトが背を向けて着替えようとすると♂カイトは自分のほうを向いて着替えるようにと言ってきた。
(くそ! くそ! くそ! こんな変態野郎の言いなりに!)
 どんなに忌々しくても言われたとおりにするほかなかった。
 ♂カイトの粘っこい視線に体中を舐め回されながらカイトは全裸になった。
 小さな震動でいちいち胸と胸のチェーンが揺れるのを見て♂カイトは大はしゃぎしている。
 何も感じない振りをしてカイトはパンティとブラを付けていった。その下着姿の上から直接ワンピースのエプロンドレスを着た。
「……これでいいんだろ?」
「口のききかたがなってないメイドだなぁ。僕のことは御主人様と呼べよ」
「……御主人様」
 棒読み口調でカイトが答えると♂カイトは苦笑した。
「ま、いいか。ポチ子、お茶いれてきて」
 カイトは台所へいって慣れない手つきで緑茶を淹れると、湯飲みを♂カイトに運んだ。
「うむ、御苦労。いやぁ、メイドのいる生活っていいもんだねぇ」
「あのさ、風呂入ってきていいか?」
 思いきってカイトは尋ねてみた。
 昨日以来、ずっとシャワーを浴びたくて仕方がなかったのだ。
 ♂カイトは案外あっさりと承知してくれた。
「ただし! その前に命令だ」
 ……命令の内容を聞いてカイトは顔をしかめた。
「早くしろ!」
 せかされてカイトはその場に正座した。スカートの裾が床に広がる。
 ♂カイトはいそいそとカイトの膝に頭を乗せてきた。膝枕の態勢だ。
 ♂カイトはじっとしておらず、カイトの股のあたりに顔を埋めてクンクンと匂いを嗅いだりした。
 あわててカイトはぴたりと両脚を閉じた。
「ん〜。生の女の子のニオイも悪くないね!」
「くっ!」
 カイトは手にした耳掻きを思いきり♂カイトの耳の穴に貫通させそうになった。
「ご、御主人、様……横、向いてくれないと!」
「そうだったね。失敬、失敬」
 カイトは命令通り、♂カイトの耳掃除を始めた。
 カリカリと耳掃除されて♂カイトは気持ちよさそうに目を細める。
(畜生! なにやってんだ、オレ!)
 メイドのコスプレで男に奉仕させられてる。
 自分自身の情けない姿がカイトにはショックだった。
(このままメイドになっちまうのか、オレは……)
 メイド服で奉仕する自分の姿を意識してしまうと、男としての自意識が崩れていく。どうしても強く自分を「女」として認識してしまう。
 それでもカイトは抗った。
(違うぞ。本当のオレは女に奉仕される側だ! 女を屈服させて言うことを聞かせる側だ!)
 これは仮の姿に過ぎない、と何度も自分に言い聞かせた。
 そうしないと、自分という存在がこの世から消えてしまいそうだったからだ。
 女の体つき、声、服装、生理。カイトが「カイト」であったことを証立ててくれるものは何一つない。他人の、女の、肉体。
 カイトの心が偽りの器に屈したら、自分がこの世に生きてきたという証は何もなくなってしまう。それが何よりも怖かった。
 メイドとしての屈辱の奉仕は小一時間続いた。
「もういいぞ。気持ちよかったよポチ子」
「……はい」
 ようやく耳掃除から解放されて、カイトは風呂場に向かった。
 かつては自宅だった家だ。勝手は分かってる。
 一ヶ月ぶりの懐かしい風呂場……
 忌々しい女物の服を脱ぎ捨てて裸になり、シャワーの栓をひねった。
 勢いよく湯が迸る。熱いシャワーに打たれるのはひどく心地良かった。
 監禁生活のあとではこんな些細なことがひどく贅沢に思える。
 重苦しい気持ちも少しは流れ落ちていくようだった。
「うー、極楽」
 カイトは喉を鳴らした。
 そして柄にもなく思い詰めていたことを少し反省した。
「……ぐだぐだ悩んでもしかたねぇよな。今は素直にメイドの振りしてんのが一番だ。それで、じっくり状況を見極めて作戦立てりゃいいよな」
 そうやって割り切ってしまうとだいぶ心が軽くなった。
 しげしげと自分の体を観察する余裕も生まれてくる。
 シャワーの水滴が乳房の形に沿って流れていくのが、くすぐったく、同時に少し気持ちよくもあった。
「女の肌って、無駄に敏感なんだよ……」
 男だったときより皮膚全体が鋭敏になっていてシャワーの刺激を受け止めている。
 シャワーのヘッドを直接胸に向けると、勢いよく湯を浴びせられたバストがゴム鞠
のように小刻みに弾んだ。
 水流の当たる刺激でぷっくりと乳首が立ってきた。それによってピアスも持ち上がる。
「あン、これ邪魔っ……」
 カイトは指でピアスを摘んだ。
 セックス人形であることを常にカイトに自覚させる。その目的のために取り付けられたピアス。
 それは堅固に封環されていて、自力ではどんなに頑張っても外すことができない。
 いわば烙印のようなものだ。
 ピアスに加えてチェーンまで付けられて装飾されてしまった情けない姿が、風呂場の曇った鏡に映っている。
 何気なくピアスを引っ張ると、しこった乳首が刺激されてツンと甘痒い快感が胸に生まれてしまった。
「ひゃんッッ!」
 慌ててピアスから指を離した。憎い相手に施されたピアスで快感を貪ってしまうなど、情けなさ過ぎる。
 ピアスのことは頭から追い出して丹念に全身を洗い流していった。
 女の体が全身性感帯だというのは本当だった。
 体中どこにシャワーがあたっても、やわらかな快感が生まれる。
 そして脚の付け根にシャワーを当てたとき、体に電流が流れた。
(うあっ……すげぇ気持ちいい……)
 女がシャワーでオナニーをするというのは、昔聞きかじったことがあった。
 なんでシャワーなんか使うのか、と当時は不思議に思ったものだった。
 それが、女の体で実際に体験してみるとたまらない心地よさだった。
 男では絶対に味わえない、じれったいような体の中を直接くすぐられるような不思議な性的快感が湧いてくる。
「ンッ、ンッ、うぅぅぅぅん……」
 カイトは自分が快感に呻いてることにすら気付いてなかった。
 秘芯に突き刺さるような水流が気持ちよくて、シャワーの位置を変えることができなかった。
「あはァ……うくっ、オレ、何やってんだよぅ……」
 初めてオナニーを覚えてしまった少女のようにカイトはその行為を止めることができずにいた。
「くふぅ……ダメぇ、力が抜けるぅ……」
 腰が抜けたようになってカイトはペタンと浴室のタイルに尻餅をついてしまった。
 両脚がMの字に開く女の子座りの姿勢になっている。
 体の中で何かの圧力が高まってくる感じがある。
 いままで何度も強制的に味わわされてきた感覚だ。
 カイトはそうっと股間を手で撫でた。
 もちろん、そこに男の象徴はない。
 スースーとする寂しげな股間に、ひっそりと女の器官が埋め込まれている。
 さんざん刺激されたラビアは充血してぽってりとした手触りになってる。
 上のほうに向かって指を滑らせると、プクッとふくらんだ小さな突起に当たった。
 皮をかぶせた上から弱くこするだけで、ペニスを擦るのに少しだけ似たきつい快感が迸った。
 その快感に、体の奥で子宮が反応したような気がした。
 急激に股間にせつなさを覚える。
 そこに何かを受け入れたいという女の体だけが持つ欲求。
 意識せずにカイトは座った姿勢のままで股間にシャワーを向けていた。
 欲しかった場所に突き刺さる水の槍。貫かれるイメージにカイトの体は熱くなった。
 体の中の圧力がどんどんと高まる。抑えようがないほどに。
 白い波が来る……
 自らにとどめを刺すようにシャワーのヘッドをより近づけた。
 クリトリスやラビア、その周辺が満遍なく水の愛撫を受け、チリチリと焦げそうなほど性感が高まった。
 最後の瞬間はあっけなく訪れた。
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ……!!」
 カイトは耐えるように目を瞑ってイク瞬間を迎えた。
 意志を離れて体が仰け反り、こむらがえりでも起こしたようにキュッと足先が曲がった。
 ピク、ピク、とエクスタシーの余韻で下腹がひくつく。
 いつのまにかシャワーヘッドはカイトの手を離れてタイルの上に落ちていた。
(あれ……)
 ピンク色の霧に染まりきっていた頭が少しずつ晴れていく。
(いまの……オナニーしちまったのか……?)
 オナニー以外の何物でもない。
 それでもカイトにはいまひとつオナニーをしたという実感が薄かった。しっかりとイッたにも関わらず。
 いまのオナニーが男のときのそれと比べてあまりにも異質だったからだ。
 ペニスのイメージを必要としない、完全な女の本能に基づくオナニー行為だった。
 そのため、オナニーをしたという実感に乏しいのだった。
「うわ、べちょべちょになってやがる!」
 改めて股間を探ると大量の愛液が指にまとわりついた。
 もう一度シャワーを当ててそれを洗い流した。
 オナニーの後始末に夢中になってたせいで、カイトは脱衣場に人が入ってくる気配に全く気付いてなかった。
 あっと思ったときには既に、浴室の磨りガラスの向こうに人が立っていた。
 カラリと浴室の戸を開けて人が入ってくる。……それは叔父だった。
「うわっ……!」
「む?」
 叔父のほうもカイトの存在に気付いてなかったのだろう。
 しばし二人は裸で対面したまま固まってしまった。
 やがて口を開いたのは叔父のほうだった。
「ほう。先客がおったとね」
「叔父、さん……今日は、その、早いんだな。帰りが」
 叔父は落ち着きを取り戻すと、カイトに構わず浴室に入ってきた。
 床に座ったままのカイトは叔父を見上げる形になる。
「えらいしおらしか口をききよったいね。ワシんこつは叩きゃ金吐き出すCDやち思うとったとじゃろう?」
「………………」
 かつて知ってたのと違う叔父の態度にカイトは自然とタイルの上を後退していた。
 叔父は全裸のカイトを上から下まで無遠慮に眺めた。
「あの悪ガキがこげんなっとはのぅ。ええ気味じゃ。ワシゃムラタさんに感謝せんこつにゃ」
「ヒッ……」
 男のときは叔父に対して感じたこともない怯えの感情。
 叔父のほうもカイトの怯えを敏感に感じ取って優位に立つ者の笑いを浮かべた。
「ふふ……ワシゃあ散々おまえに苦労かけられよったとじゃ。こんスケベたらしい体に触ったっちゃバチぁ当たりゃせんの」
 叔父は屈んでカイトの胸に手を伸ばそうとした。
 叔父の股間で黒々とした芋のような代物が勃ちあがる……。
「ヒィッ!」
 カイトは夢中で叔父の手を払った。そのとき爪が当たってわずかばかり叔父の手から血が出た。
「こん糞ガキャ。淫売んごつ体しくさって!」
 バシィッ!
 平手で頬を張り飛ばされてカイトはブザマに這いつくばってしまった。
 本気になった男の暴力に、女の体は無力だった。
 叔父は血走った目でカイトにのしかかってきた。
(犯される……!)
 無条件の恐怖に支配されてカイトは無駄に床で藻掻いた。
 濡れたタイルで手がすべり、ますます無防備に倒れ伏してしまった。
 必死で叔父を押し退けようと突っぱねた腕を難なく掴まれ、逆にタイルの上に押しつけられてしまった。
 それだけでもう、ろくに身動きができない。
 犯されるという恐怖は圧倒的だった。理屈ではなく本能の部分で感じる恐怖だった。
 のしかかってくる男の身体。
 首筋に生臭い中年男の息がかかる。
 赤黒く怒張した男の逸物が凶器じみてカイトの目に映った。
 女はどいつも結局は犯されることを望んでる。……男のときのカイトの持論だった。
 それがとんでもない間違いだったことが今は分かる。
 正常な思考が吹っ飛び、ただ逃げることしか考えられなかった。
 脚を閉じようとしてもそこに叔父の体があってままならない。
「いや、いやだァ!」
 髪を振り乱して首を振るのが唯一可能な抵抗だった。
 叔父の腰が重なってきて、内腿のあたりにペニスが触れた。
 そこからはあっというまだった。
 ペニスの先端が花弁をめくり膣の位置を探り当てた。
「うあぁぁぁぁっ……」
 愛撫も何もない、強引な行為だった。
 ずにゅう、と粘膜をかきわけて男のモノが挿入された。
 カイトがどんなに嫌悪してもその挿入を止める力はない。
 むしろカイトの肉体は男のモノを受け入れるように働いてしまう。
 徐々に秘部がぬかるんで、より容易にペニスが滑るようになっていく。
 一度中程まで引き抜かれたペニスがもう一度勢いよく打ち込まれた。
「くひぃぃぃぃ!」
 ズンと貫かれる衝撃に歯をくいしばっても悲鳴が漏れてしまう。
「ん、むぅ……アソコの具合だけは抜群に良かね……」
「あっ、あっ、うぅぅぅ……」
 完全なレイプだった。
 男のモノを出し入れされてカイトはただ呻くだけのまさにセックス人形そのものだった。
 カイトの腕を押さえ込んだまま叔父はピアスごとカイトの乳首を吸った。
「きゃふっ!」
 突然の刺激にカイトは場違いなほど可愛らしく叫んでしまった。
 ピストン運動でペニスがカイトの中を出入りし、袋の部分が打ちつけられてピシャピシャと音を立てた。
 カイトの目から涙がこぼれる。
 悲しいからではなく、レイプに対する女体の自動的な反応のひとつだった。
 力でねじ伏せられて犯される惨めさは、悲しいなどという感情を遥かに越えていた。
 犯されることへの恐怖だけではない。
 カイトはうわごとのように口走った。
「やめてぇ! そこに出されたら……やだ、妊娠すんのなんて嫌だぁぁぁ!!」
「フンッ」
 叔父は無言でペニスを引き抜くと、カイトに馬乗りになってきた。
 毒々しいばかりに膨張した逸物がカイトの胸の谷間に侵入した。
 両乳房の壁面に感じる熱いペニスの感触はまるで異次元のものだった。
「なにポケェっとしょっと。オッパイでしごかんね!」
「うぅ……はぃ……」
 弱々しく呟くとカイトは言われるままに、自らの手で乳房を掴み、前後に揺らした。
 思考が麻痺していて逆らおうという考えすら浮かばなかった。
 AVで見たパイズリを見よう見まねで再現する。
 ぎこちなく胸の肉を動かしてペニスを挟み、しごいてやると叔父は鼻息を荒くして腰を使い始めた。
 何度も何度も胸の谷間を熱い肉が擦った。
 永遠にも思えた時間の果てに、叔父が一声呻いた。
 グイと腰が突き出されたまま動きが止まり、ペニスの先端から大量の白濁液が吐き出された。
 ザーメンが胸の谷間から鎖骨にかけて溜まり、やがて首の根本を伝って床に流れ出した。
 時間をかけて息を整えた叔父がゆっくりとカイトの上から体をどかした。
「フゥ……悪かなかったばい」
 体が自由になってもしばらくの間、カイトは立ち上がることすらできなかった。
 先ほどとは違う涙……悔し涙が後から後から流れた。
 レイプによっていとも簡単にセックス人形に成り下がってしまった自分の情けなさに対する悔し涙だった。
 叔父が出ていった後、カイトは頭からシャワーを浴びてザーメンを洗い流した。
 穢れがいつまでも落ちた気がせず、カイトはいつまでもシャワーを浴び続けた。

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