― 成年アンソロジーコミック・絶対服従少女 ―

俺の方が兄貴なんだから、俺の言う事を聞け―――確かに俺はそういった言葉で、弟である和人(かずと)に物事を言い聞かせたり押え付けた事はある。だがそれを何回やったかなんてのは意識した事がないし、そもそもこの言い文句は結構兄弟のいる家庭では当たり前の常套句だろう。だからそれが何か問題を起こすなんて事は自分自身意識したこともなかった。そりゃあ多少のコンプレックスの原因にはなるという事を友人から言われて少し反省した事もあったが、よもやそれに対しての反撃を企てられるなどは、神様だって予想もできまい。
いや、大抵は企てても手段がなく未遂に終わるのだ。そもそも年齢差なんてものはひっくり返しようがないものだし、万が一肉体的に成長を促進させる手段があったとしても、精神はあくまで元のままなのだから、やはりこちらが兄という理屈も成り立つ。
結局のところ、こういう立場を入れ替えるというのは社会的地位や財力で上に立つなどの手段でやってやれない事もないが、殆どは長期的スパンでの手段しかないから、和人の望むような即効性のある反撃手段なんてものはない。つまり実質的には不可能なのだ。
ところがあいつは、よりにもよってとんでもない発想の転換に出た。
よもやこんな事になろうとは……それは昨日の夜の事だ。

がちゃ……ぎしっ……
眠りに落ちてどれほどの時間が経ったかはわからないが、まだまだ夜の最中、俺は聞きなれない音に眠りを妨げられた。
「……っと…………して……」
その中に、時折誰かの声が交じる。どこかで聞き覚えのある声だ。
昨日は遅くまで飲み会だったので睡魔の攻勢が激しく、無理矢理寝ようかとも考える。
しかし何故か奇妙に寝苦しい。それも酔いや疲れとは何か違う。
「…………を、こう……」
すると今度は、なにか体が引っ張られるような感覚が走る。さすがにこれは無視して寝るというわけにもいかない。
うっすらと目を空ける。部屋の電気を消し忘れたのか、眩しくてなかなか視界が戻らない。
……がちゃり。
「……っと、これでよし」
今度ははっきりと声が聞える。先ほども聞いたそれは、弟の……和人の声だ。
―――なんだあいつ? 人の部屋で夜中に何してやがるんだ?
静かに視界が戻ってくる。見慣れた自分の部屋の天井、そして壁。
案の定、天井の蛍光燈が点いており、部屋の中は明るい。
まだ朦朧とする視界の中、とりあえず体を起こそうとベットに手をつこうとしたが―――ぎしっ。
かすかに何かが軋む音がするだけで、なぜか手が動かせなかった。
「あ、兄ちゃん、起きたんだね」
和人の声。見ると和人がベットの横に立っている。
こんな夜中に何故和人が部屋にいるのか、そもそも体が動かせないのは……よくわからない奇妙な状況で漠然とそんな事を考えていたが、少しずつ戻ってくる視界がようやく普段のレベルまで回復した時、俺は絶句した。
「……なっ、なんだよこれは!!」
動かせない四肢を首を上げて見下ろすと、そこには仰向けでベットに大の字で固定された自分。
しかもすっ裸だった。手首足首にしっかりと拘束具がはめられ、ベットの柱に固定されている。
しかし……
「あ、あれ……な、なんだコレ?」
その視界に、見慣れぬ奇妙なものが写っている。丁度自身の胸のところに、あきらかに自分のものではない何かが……いや、それ自体は知っているモノだ。
問題はそれを知っているか否かじゃない。そう、問題は”何故女性の胸が自分の胸に乗っかっているのか”という事だ。何故なら自分は男なのだから。
しかし見れば見るほど精巧である。継ぎ目など見当たらないし、まるで自分の体の一部であるように…………いや、それはおかしい。
しかし見れば見るほど否定できない。それは明かに視界に写っている体の一部だし、そしてその体はまぎれもなく自分のものなのであり……
―――嫌な予感がした。理解を超えた状況に、漠然とした不安がよぎる。
「兄ちゃん、それはおっぱいだよ。女の人のおっぱい」
和人が笑みを浮かべながら、俺の疑問に答えた。いや、正確には止めていた思考に追い討ちをかけたのだ。そしてそれをあっさりとこいつが肯定するという事は―――
「和人! これはいったいどういう事だ!! 俺にいったい…………ッ!?」
思い切り和人に怒鳴りちらす。体が自由ならまず殴りかかっていたところだが、今はこれしかできない。そして自分の口から発された声に驚いた。聞いた事のない女の声だったからだ。
そんなこちらの狼狽を尻目に、和人はまさに悪戯をする子供の笑みで(実際子供だが)こちらの怒りに動じる事なく答えた。
「兄ちゃんが悪いんだよ。いっつも”俺が兄貴なんだから”、”兄の言う事は聞くもんだ”って僕を怒るんだから。だから兄ちゃんには、この薬で女になってもらったんだ」
そう言って和人が見せたのは、透明な液体の入った瓶。
「ななな、なんでそんなモノが! つーかそんな非科学的な代物、どこで手に入れやがった!」
「となりの大学寮の静奈ねーちゃん。話したら、まだ”じっけんまえのさんぷるだけど”って、これをくれたんだ」
その名前を聞いた途端、俺は絶句した。ウチの隣りは一区画向こうにある医大の大学女子寮になっていて、そこの在学生が住んでいる。和人の言う”静奈ねーちゃん”というのは、たまに家の前でも見かけて互いに挨拶するぐらいの面識はある人なのだが、噂によるとその医大で創学以来の天才とか呼ばれてるレベルの人らしい。とはいえそれでもそんな薬なんて存在は普段なら冗談で終わるような話だが、自分が今まさにその被験体、しかも成功例になっているのだから否定しようがない。
だが、いったい何故? 和人は何のために俺を女にした?
「……それはわかった。だが和人、どうしてこんな事をした? 言っておくが、男は女の言葉を聞くもんだなんて男尊女卑は通用しねぇぞ。それならそれで”姉の言う事は聞くもんだ”って言うだけで、お前の立場は何も変わりゃしねえからな」
「ふん、そんなの僕だってわかるよ」
ふてくされたように、しかしまだ余裕がある顔で和人は答える。つまり、それは予想の内だと言うことか。
「わかってんなら、無駄な事はするな。つーか早く縄を解いて俺を元に戻せ。その薬で元に戻れるんだろう?」
「いやだよ。それに兄ちゃんはこれから僕の言う事を聞くようになるんだから、威張れるのだって今のうちなんだ」
「何だそりゃ? いったいどんな目論みがあるってんだ?」
こちらの問いに和人はにやっと笑うと、突然俺が寝かされてるベットの下をあさり始めた。
そこにあるのは……俺の”大人の”コレクション。大抵の若人はベットの下は定番の隠し場所だ。
和人のやつ、知ってやがったのか? だけど今のコレと何の関係が―――そんな疑問をよそに、和人はしばし何かを探した後、ようやく顔を上げた。
そしてその手にしている本を見て、俺は絶句する。
― 成年アンソロジーコミック・絶対服従少女 ―

それは俺のお気に入りのコレクションの一冊で、当然中身はそういう内容の本だ。
当然その内容は……俺は和人の意図をようやく理解した。
「女の人っていうのは、股にちんぽ差し込まれて”しゃせい”っていう白いおしっこをされると、言う事を聞くようになるんだよね? 僕この本見てぴんときたんだ。こんな本を持ってるなんて兄ちゃんは”おけつ”をほったね」
嬉しそうに和人は笑う。「それを言うなら”墓穴を掘った”だろ」などと思ったが、正直言ってそういうつっこみを入れる心境ではない。
何しろ和人は、こちらを犯そうという意図なのだから。
そして俺の青い顔を、自身の発言の肯定と受け取ったのか、その場で服を脱ぐと嬉々としてベットに上がってくる。
「ま、まて和人! お前はそもそも間違ってるぞ! そもそもそれは漫画で……」
「ふっふーん、兄ちゃん慌ててるね。でもダメ、今度は僕が命令する方になるんだから。
えーっと、まずは胸をもみもみするんだよね」
和人が俺の体に覆い被さってくる。体をひねってかわそうとするが、きつくベットに縛られている体はまったく動かない。和人はそのまま両手で胸をわしずかみにすると、いきなりすごい勢いで揉みしだき始めた。
「ばっ、バカ! やめろって和人……あふっ…………くっ……ん!」
それはまったく未知の感覚だった。自分の胸にそんなものがついているという事自体がそもそもなかったわけだから当たり前なのだが、それだけでは説明ができない。
皮膚から伝わる感覚が電気のように体に染み込むというか、明かに男の粗野な体では体感しえない不思議な神経感覚が、全身に熱を与えるような、そんな感じだ。
「うわぁ、ぷにぷにしてやわらかいね。兄ちゃんの胸、マシュマロみたいだ。えっと……さらにお乳を吸うようにすればいいんだよね」
「だか……ら、や……め…………んくぅっ!!」
和人が乳首を吸い始めた途端、先ほどのじわりとした感覚とは違う電気が走る。ただ口でその頂を吸われているだけで、いわゆる責めの技術のようなものは皆無なのだが、それでも息が苦しくなって、体が汗ばんでくる。
「あれ? あ、本当にちくびが立ったよ。これって兄ちゃんが”かんじてる”っていう事だよね?」
「ふ、ふざけんな! そ、そんな事は……ひゃうん! や、やめろって……んんぅ!!」
両手で胸を揉みながら、和人は交互に俺の乳首を吸い続ける。いくら声を押えようとしても、刺激を与えられるたびに体が勝手に反応してしまう。
和人のやっている事は所詮漫画の見真似にすぎないのに、それでも歯向かう事ができない。
な、なんだよこの感じやすさは。これが女なのか―――荒い息を整えながら、必死に和人の行為に耐える。そしてどれほどの時間がたったか、和人はようやく胸への責めをやめた。
「次は…………あれ? どうだっけ」
和人は間抜けな声を上げた後、おもむろに先ほどの漫画を拾う。そしてうんうんそうだったと頷いたあと、再びこちらに覆い被さってきた。
この後は確か―――おそらく和人が参考にしているだろう話を思い返す。
そしてその記憶通り、和人は舌を胸からゆっくりと這わせて腹の方に向かわせた。
体の線をなぞるように和人の舌が胸から腹、へそへと降りていく。ただ舐められているだけなのに、ぞくぞくと甘美な電気が体を走るのは、やはり女の体だからなのか。
だがその先には―――それを思った途端、今度は雷撃が俺の体を襲う。
「きゃあうぅっ!!」
恥かしいぐらいの”女の悲鳴”を上げて、俺は体をベットの上で跳ねさせた。
まるでいきなりペニス全体を舐められたような感覚……おそらく、いや、間違いなく和人が俺のクリトリスを舐めたのだ。その感覚が女にとってのペニスのようなものだというのは知識で聞いてはいたが、そんな生易しいものじゃない。確かに快感の性質は似ているが、その勢いが男だった自分の予想をはるかに越えている。
「このお豆を、兄ちゃんの股が”あいえき”で濡れるまで刺激するんだよね」
「ま、待てって! こんな刺激を受けたら…………きゃん! や、やあめ……ひゃうぅん!!!」
和人はまるでアイスクリームを舐めるかのように、勢いよく舌を動かし始める。
こちらからは股に顔を埋めている和人の頭しか見えないが、あいつがひたすらクリトリスを舐めているのは体の感覚が伝えてくる。しかしその刺激はあまりに強く耐えがたい。
足を閉じて拒絶したいのだが、しっかりとベットに固定された四肢はまったく動かす事がかなわず、和人の責めを止める事は不可能だった。
俺はただひたすら叫び喘いで快楽に耐えていたが、その一方で、このあまりに甘美な快楽に例え様のない歓喜を覚えていた。女のように鳴かされる陵辱感と、もっと快楽を享受したいという欲求が、心の中で責めぎあう。
そしてその欲求がさらに強くなった途端、突然和人が舌を離した。
―――なっ……ど、どうして?
突然の快楽の切断に、俺は自分の置かれた状況も忘れて顔を上げる。
しかし俺の股座に膝立ちでこちらを見る和人を見た途端、その意味を知って血の気が引いた。
「これだけ”あいえき”で濡せば、もういいんだよね。あとはここに僕のおちんちんを……」
まだ剥けていないガキのペニスを手に膝立ちする和人を見て、俺は戦慄した。
「ま、まて和人! わかった、わかったからそれだけはやめろって!! な!?」
「わかったって何をさ? だってまだ”ぎしき”は終わってないよ?」
「だ……だから、もう命令しないから! 和人の言う事はなんでも聞くから…………な?」
もうプライドも何もなかった。ただひたすらへりくだって和人を説得する。
いくらなんでも男に、まして弟に犯されるなんてまっぴら御免だ。この場は嘘をついてでも、なんとか取り繕うしかない。俺はこれまでの人生でここまで真剣に人に頼み事をした事はないってぐらい、もう必死だった。
「本当に? もう”俺が兄貴だから”とかって言わない?」
「あ、ああ。言わない! お前の好きなようにしていいから! なんでも言う事聞くから!」
俺の言葉に和人かむーっと考える。よし、良い子だからそのまま納得してくれ。
俺の心配をよそに考え続ける和人だったが……しばらくしてぱっと笑った。
―――あ、納得してくれたか?
一瞬安堵の思いが脳裏に過ぎる。が、和人の次の言葉に、俺は我を失った。
「じゃあお願い。兄ちゃんを”おかす”から!」
「ま、まてって! ななななんだよ!そそれ!!」
「えー、だって本でもそうだったよね。”なんでもやります”って言った女の子に”じゃあ最後までやらせろ”って言って”ぎしき”を続けるんだよねー」
―――そうだった。あの本のメインタイトルの話では、そう言って少女を最後まで犯すのだ。
よりにもよって俺は、和人がシナリオ通りに話を進めるのを手伝ってしまった事になる。
「じゃあ、ぶっすりいくよー。”いやがるのをいっきにやるのがいいんだぜー!!”」
和人は漫画のセリフを真似て、ペニスを秘部にあてがう。俺はなんとか体をよじってそれを逃れようとするが、繋がれている身では所詮無駄な抵抗だった。
「ま、待て! お願いだからやめろ……やめ、やめてくれぇ!!」
「せーのぉっ、それぇっ!!」
「かっ……きゃああああぁぁぁッ!!」
がんっ、と体に杭でも打ち込まれたような感覚。和人のペニスなんてまだ子供のサイズなのに、それでもその体に入り込む痛みとも快楽ともつかない感覚に、大きな悲鳴を上げさせられる。
そしてその”入れられる感覚”に、俺はようやく自分が本当に女にされたのだと実感した。
破瓜の感覚が心に雌の烙印を刻んだような、そんなショックが体を駆け巡る。
しかし和人は、そんな破瓜の余韻を待ってくれるほど甘くなかった。
「ここで激しくおちんちんを出し入れするんだよね。じゃあ、いくよっ!」
「はきゃうぅっ!! か、和人やめっ……いきなり激しっ……やああ! はあああぁぅ!!」
子供ゆえの無邪気さと言おうか、和人は本当に容赦なく激しい抽挿を始める。
ぬちゃ、ぐちゃとという愛液、そして多分自身の破瓜の血の音とともに、ぱんっぱんっと股と股が当たる音が部屋に響く。
しかしこちらはそんなものを聞いている余裕もない。突き上げられるたびに耐えがたい痛みと、そしてその何倍もの快楽が一気に押し寄せてくるのだ。喘ぎ、叫んでもそれらを全て吐き出せるはずもなく、残ったその両方の感覚が体の中で暴れ回る。
女が感じると、体が言う事を聞かなくなるというのは本当だったのだ。
当然だろう。こんな感覚に我を忘れずにいられるはずがない。与えられる感覚が、体の中だけで処理しきれないのだ。しかもこれでまだ、絶頂ではない。
「に、兄ちゃんの中……なんか熱くてぬるぬるして、締めつけてくるよぅ! これ、すごく気持ちがいい!」
見れば和人も初めての挿入に、汗をたらしながらも必死に腰を打ちつけていた。
互いの体が汗で光り、肌が淫靡な光沢を放っている。そしてそのエロチックな光景を目の当たりにした途端、俺の中の男と女が同時に興奮する。少年が年上の美少女に必死に腰を打ちつけているという姿の刺激に、俺は犯されているのも忘れて喘いだ。
「あ、あ、兄ちゃんすごいよ……僕の腰が止まらない!」
「いい、いいよぉ! 女って……女ってこんなに気持ちが……ああぅん!! 和人ぉ!!」
和人の突き上げに合わせて、無意識に腰をひねる。動かせない体がもどかしかった。
もっともっと深く奥まで突き上げて欲しかった。
―――しかし
「あぁっ! 出る! 兄ちゃん、僕おしっこ出ちゃうよぉ!!」
「―――!!!」
その言葉に俺は一気に現実に引き戻された。当然そいつは小便なんかじゃない。
快楽に溺れて我を忘れてしまったが、この行為はそもそも”それ”が目的なのだ。
それだけは絶対阻止しなくてはならない。薬がいったいどういうものなのかはわからないが、万が一、その行為が最悪の結果をもたらさないとも限らないのだ。
「ま、まて和人! 抜け……はくうッ! 中で出しちゃダ……メ……あふうぅっ!!」
俺はなんとか必死に和人に言葉を発する。だが和人は腰を打ちつけながら、それを聞いて何故かふっと笑った。
「この、おしっこを”しゃせい”して、兄ちゃんの……中に出せばいいんだよね。そうすれば兄ちゃんは……僕に”ちょうきょう”されるんだ」
「ば、ばかぁ! そんなんじゃな……っひゃああん! きゃうん!」
「ようし! じゃあ、”なかにいっぱいそそぎこんでやるぜー!”」
また漫画の真似台詞とともに、和人は絶対逃がさないとばかりにがっしりと俺の腰に手を回す。
そしてこちらの嘆願に反して一気にペースを上げた。途端にこちらはもう、まともに声すら発する事ができなくなってまう。
ぎしぎしとベットが軋み、激しく腰を打ちつけられながら俺は泣き叫ぶように喘いだ。
「うあっ、出るっ! 兄ちゃん、僕出るうっ!!」
「だめっ、だめぇ!! ふああっ、ああああああぁぁぁ――――ッ!!!」
最後に思いっきり腰を叩きつけられたかと思った刹那、熱いものがお腹の中に注ぎ込まれた。
その途端、俺自身の快楽も限界に達して獣のような嬌声を上げさせられる。
初めての女の絶頂、それはあまりに強烈だった。先ほどまでの恐怖や不安ですら、その瞬間一気に吹き飛ばされてしまう。
荒い息を押えながら、ようやく辿り付いた快楽の頂の余韻を味わっていると、和人が俺の中からペニスを抜いた。
「すごいー、本当に白いおしっこが出てる。これが”しゃせい”なんだよね……あぁ!! 僕のおちんちんが大人のちんちんになってる!!」
何の事やらと顔を上げると、まだ隆々と立ってる和人のペニスが、先ほどと違い剥けていた。
多分挿入しているうちに剥けてしまったのだろう。
しかし射精も知らず、ペニスも剥けてなかったというのはもしや……
「なあ和人、お前もしかして射精したのって……今まで朝起きたらしてたとかってのはないのか?」
「うん、今回が初めてだよ」
和人の言葉はある意味ショックだ。なにしろ俺は、和人のペニスを剥いて、筆下ろしして、あまつさえ精通まで手伝ったという事になる。和人の初物をみんな俺がいただいたという事だ。
だが、そんな事は嬉しくもなんにもない。つーか逆に悪夢だ。
しかも中出しである。それを思い出した途端、俺は一気に血の気が引いた。
とりあえず今すぐ何かすれば、なんとかなるのかもしれない。なんにしろ素早い対応が大事だ。
「和人、とりあえず解け! 俺を自由にしろ! 早く!」
慌てて俺は和人に怒鳴る。しかし和人は、そんな俺に対してふふんと笑ったかと思うと、また再び俺の股座に膝立ちになった。
「だめだよ兄ちゃん。”ちょうきょう”は兄ちゃんが”ぜっちょー”しまくって、気絶するまでやるんだからね。そうしないと”どれい”にならないって本に書いてあったもん」
和人は、僕を騙そうったって、そうはいかないよという感じで、こちらを見下ろしたあと、おもむろに剥けたばかりのペニスを、再び俺の股にあてがう。
「なっ……バカ言ってんじゃねぇ!! いいからすぐ放せって……ば、バカ! やめっ……」
「じゃあ兄ちゃん、”いくらでもイかせてやるぜー!”」
「はふっ!! ひゃああああぁぁッツ!!」
いきなりの再挿入に、俺はなすすべもなく声を上げた。和人も先ほどの行為で多少はコツを掴んだのか、今度はリズムよくこちらの腰を打ちつけてくる。
そしてこの晩の行為は、本当に俺が5回目の絶頂で気絶するまで、止まる事はなかった。

……で、気が付くと和人は俺の胸に顔をうずめて寝ていたというわけだ。
正確には拘束はすでに解かれていたので、俺が和人を抱きしめて寝ていたとも言えるが……。
さすがにこいつは夜更かしの経験がないためか、起きる気配もない。
しかしどうしてくれよう。とりあえず起こしてからタコ殴りにしようかと思ったが、それでも今回の事は気が収まりそうにない。とりあえずこの体だが、たぶんその静奈さんに頼めばなんとかしてもらえるだろう。いや、そうだと思いたい。
まさか元に戻れないとか、そういう事は…………いや、やめやめ! 大丈夫だろう! たぶん!
となると後は、このバカ弟への制裁をどうするかだが。
俺は和人をベットに寝かせたまま、立ち上がってなんとなく部屋を見まわす。
ふと、壁にかかった鏡を見ると、そこには女になった俺の姿が写っていた。
「……なんだ、そんなに悪くないじゃん。顔もそれなりに変わってるんだな」
男の自分の雰囲気は残っているものの、妹とか従姉妹と言えば十分通用する容姿だ。
そもそも骨格から違う感じで、逆に知り合いでも、姿だけで俺だと気付くやつはいないだろう。
そんな事を考えながらふと、鏡の下にある棚の上に置いてある”瓶”が目に入った。
「これって、和人が持ってた……」
間違いない。それを手にした途端、俺の頭に和人へのおしおきがフラッシュのように閃いた。
バカなやつというか、やはりそのへんの詰めの甘さはガキの浅知恵か。
俺は昨晩自分を拘束していた拘束具がベットの柱にまだ括りつけられているのを確かめると、おもむろにその準備を始めた。

「と、いうわけだ和人。信賞必罰、俺は兄としてお前のやった事がいかにイケナイ事だったのかを、お前の体にしっかりと教えてやる義務がある。わかるな?」
「なんだよそれぇ!! 放せ、放せよバカ兄ちゃん!!」
俺のベットには、”少女”が拘束具で大の字に固定されて寝かされていた。無論言うまでもない事だが、それは和人である。本当にあの薬は冗談じゃなく効果があった。
「だいたい兄ちゃんは僕に”ちょうきょう”されたはずだろ! 僕の言う事を聞けよぉ!!」
「ふっふっふ、残念だけど俺を”調教”したのは”弟”の和人なの。だから”妹”の言う事は聞く必要がないんだな」
おちゃらけて和人の浅知恵に解答する。和人のやつは本当に”何故?”って感じで悔しそうだ。
ヤっただけで女が言う事聞くなら苦労しないって。ま、それはさておき……
「お前、あの本を全部読んだんなら、最後のレズものも読んだはずだよな?」
「な……なんだよぉ。お、女の人同士の話でしょ?」
どうやら理解しているようだ。それならば話は早い。
「じゃあ……女の子の和人には”お姉ちゃん”がしっかりと調教してあげよう。もちろん気絶するまでって事で。うふふっ、当然よねぇ?」
ふざけて女言葉で兆発し、俺はベットに乗る。結構背徳感があるかと思ったが、自分も相手も女になってしまってるためか、思っていたほどのものは感じない。
しかし当の和人はそれどころではないようだ。たぶんあの本のレズもののアレを思い出したのだろう。なにしろアレの最後は……ま、脅えて当然か。
だが容赦はしない。やっぱり教育的指導ってのは因果関係がわかってるうちにしないとな、うん。
「さて、それじゃあ…………”お姉さんが、教えてあげるわ!”」
「やめてよぉぉ――っ!! バカ兄ちゃん――!!」
嬉々として真似した漫画のセリフに”妹”が叫ぶが、無視無視。散々兄を陵辱した罰だ。
ま、とりあえずはこの体と快楽を、しばし楽しむとしますか。


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